介護業界で起業する際の選択肢のひとつとして、グループホームの設立がある。
グループホームは少人数制と認知症の人に特化したケアであり、日本の介護業界の中でも歴史が長いメジャーな業態だ。
グループホームでの生活はアルツハイマー型認知症に効果的といわれており、認知症の人を受け入れる重要な役割を負っている。それまで住み慣れた地域に近くて慣れた環境で暮らせることは、グループホームの大きなメリット。その理念や役割に共感して、グループホーム運営のきっかけになった起業家も多いようだ。特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅と比べても、グループホームの設置件数が圧倒的に多いことからもそれが窺える。
グループホーム設立にあたっては、他の施設設立の場合と同様にいくつもの条件がある。まずは運営主体が法人格を有していることであり、さらに人員基準、設備基準、運営基準といった設置基準を満たしていることである。
ただしグループホームの場合は、他の施設の設立基準に比べて若干緩い部分も見られる。
運営主体については法人格であればよく、社会福祉法人や医療法人でなければならないといった、さらなる限定要件はない。また看護師の必置基準について、特段の条件がないのもグループホームの特徴である。
もちろん、介護職員と利用者の比率が常勤換算で3:1以上といった人員基準や、居室は原則的に個室で、広さも一室あたり7.43平方メートル以上といった設備基準など、細かい基準が定められていることに変わりはない。